フリーランスのWebライターとして働いていると、報酬の未払いや納期遅延などのトラブルが不安です。自分の不注意だけでなく、クライアント側が原因の場合もあり、Webライター側が気を付けていても巻き込まれてしまうケースもあります。
もし報酬が支払われなかったら、突発的に納期遅延をしてしまって損害賠償請求されたら……。
今回は、Webライターが保険に入る意義と遭いやすいトラブル、おすすめの保険を紹介します。保険料の会計処理も解説しますので、参考にしてみてください。
Webライターの不安に備えるのが賠償責任保険
クライアントから賠償請求されてしまったら……。
そんな不安に備えるのが、賠償責任保険です。
賠償責任保険はフリーランスのWebライターでも加入でき、納期遅延や情報漏洩をしてしまったときの賠償リスクに備えられます。
また、弁護士に相談したり弁護士費用を補償したりする弁護士費用保険への加入もできるため、フリーランスが入っておきたい保険です。
フリーランスのWebライターに賠償責任保険が必要な理由
「自分は気をつけているから」「取引先が多くないから」と保険は不要と考える人もいるかもしれません。
しかし、いくら自分が気をつけていても万が一は起こります。取引先が少ないからといって、賠償請求されないとも限りません。
ここでは、Webライターに賠償責任保険が必要な理由を3つ解説します。
「ついうっかり」で賠償請求されるケースがあるから
Webライターがクライアントからの賠償請求される例は、納期遅延や情報漏洩、著作権侵害などです。
突然の事故や病気で納期遅延を起こしてしまったり、故意でなくても著作権侵害を犯したりすれば、責任を問われるケースもあります。
ういうっかりSNS情報漏洩してしまって、クライアントから損害賠償を求められる可能性もあるでしょう。
故意でなくても、賠償請求される可能性について理解しておく必要があります。
会社員のように守ってくれる組織がないから
フリーランスのWebライターは、会社員のように守ってくれる組織はありません。
トラブルが起きれば、すべて自分で対応する必要があります。賠償請求されてから、対応を考えていてはうまく対処できません。
そのため、Webライターは賠償責任保険に加入し、万が一のときに備えておく必要があります。
賠償請求が多額な場合があるから
納期遅延1つにとっても、コラム記事の遅延とLP記事の遅延では、クライアントに与える影響の大きさが異なります。
コラム記事はあくまでも情報提供の記事のため、多少の納期遅れでクライアントに大きな損失を与えるリスクは低いでしょう。しかし、LP記事やダイレクトメールなど企画性が高く、大きな利益を見込んで作成するコンテンツの場合、納期遅延は莫大な損失へとつながります。
Webライター1人がすべての責任を負うかは、状況や管理体制にもよりますが、想像していなかった金額を請求される可能性はゼロではありません。
もちろん、コラム記事も納期厳守は当たり前ですが、とくにクライアントの利益と直結するコンテンツ作成にかかわるWebライターは要注意。賠償責任保険に入っておくとリスクを低減できます。
Webライターが遭いやすいトラブル
ここでは、とくにWebライターが巻き込まれやすいトラブルの例を紹介します。
紹介するトラブルをカバーできる賠償責任保険を探すときに参考にしてみてください。
報酬未払い
報酬未払いは、フリーランスのWebライターに多いトラブルです。
「納品したのにクライアントと連絡が取れない」「期日までに報酬の振り込みがない」などの場合は、クライアントによる報酬未払いの可能性があります。
「少額だから諦める」と考えてしまう人もいるかもしれませんが、賠償責任保険では報酬の未払い分が保険金でカバーできます。
納期遅延
フリーランスのWebライターは、個人で仕事をしているため、突発的な事故・病気で納期遅延してしまう可能性は否定できません。「急な入院でクライアントに連絡できなかった」というケースも考えられます。
賠償請求保険では、突発的な事故・病気による納期遅延で起きた損害賠償請求に対し、保険金がおりる仕組みです。事故や病気による治療費に、賠償請求が重なって支払いに困る心配も軽減できます。
著作権侵害
著作権侵害も、Webライターなら意識しておきたいトラブルです。
画像や記事をコピーして使用する悪質なトラブルはもちろん、意図せずコピーになってしまってるケースもあります。
クライアントと取引している場合、大抵の契約書には著作権侵害による賠償責任について明記されています。記事のチェックをしたクライアント側にも責任があるため、Webライターだけが責任を負う可能性は低いですが、賠償責任を問われるのは確かでしょう。
情報漏洩
Webライターは、クライアント情報やクライアントが運営するサイト情報を取り扱う業務を担当するため、情報漏洩にも気をつける必要があります。
しかし、情報漏洩の危険性はあまり理解されているように思えません。
たとえば、カフェでノートPCを開いたままトイレに行ったり、公的な場所でオンライン会議をしたりするケースは要注意です。覗き見防止フィルムも貼らずに不特定多数の人がいる場所でノートPCを広げる行為は、情報漏洩のリスクが高くなります。
情報漏洩を起こし、クライアントに不利益が生じた場合も損害賠償請求で責任を問われることもあります。
Webライターにおすすめの保険
ここからは、フリーランスのWebライターにおすすめの賠償責任保険を紹介します。
トラブルが起こってから対応していては手遅れです。万が一のために、常日頃から対策を取っておきましょう。
フリーランス協会
フリーランス協会とは、Webライターやデザイナーなど、フリーランスのためのコミュニティー・求人サービスを取り扱う非営利団体です。
一般会員になると、賠償責任補償や福利厚生サービス、リーガルサービスが受けられるようになります。リーガルサービスとは、トラブルがあった際に弁護士に相談・依頼できるサービスです。
会員の種類 | 会費 | 付帯保険 |
無料会員 | 0円 | なし |
一般会員 | 年会費10,000円 |
|
賠償責任保険と報酬トラブル弁護士費用保険に入るには、一般会員になる必要があります。しかし年会費10,000円で上記の保険やサービスが受けられるため、おすすめの保険です。
私も今年からフリーランス協会の一般会員になりました。まだ保険を利用する機会はありませんが、トラブルに対する不安感は減ったように感じます。
フリーナンス
フリーナンスは、GMOグループが提供するフリーランスのための補償サービスです。
所得保障・資金繰り・感染症保険などのサービスが受けられます。
年会費 | 0円 |
あんしん補償(賠償責任保険) | 0円 |
所得保障保険 | 月額500円 |
フリーナンスで賠償責任保険に加入するには、フリーナンス口座と呼ばれる報酬受け取り口座を開設する必要があります。
クライアントからの報酬振込先をフリーナンス口座に指定し、請求書作成を行います。フリーナンス口座に入金された報酬は、ユーザーが指定したメインバンクの口座に振替られる仕組みです。
請求・入金にフリーランスを通すことで、各種保険の特典が受けられます。
年会費は無料のため、口座振替の手間が気にならない場合は、フリーナンスを利用するとよいでしょう。
Webライターの賠償責任保険は経費に計上できる
賠償責任保険料は業務のために必要な保険のため、経費に計上できます。
帳簿には、損害保険料として記載します。ちなみに、事務所の火災保険・地震保険も損害保険料として経費にできることを覚えておきましょう。
複式簿記(青色申告)の記帳の例は、次のとおりです。
勘定科目 | 借方 | 勘定科目 | 貸方 |
損害保険料 | 10,000 | 普通預金 | 10,000 |
貸方の勘定科目は、支払い方法に応じて変更してください。たとえば、「クレジットカード」「現金」などです。
単式簿記(白色申告)の人は、以下のように記帳しましょう。
日付 | 損害保険 | 摘要 |
2021年○月○日 | 10,000 | 損害賠償保険料 |
Webライターとして活動するなら賠償責任保険に入ると安心
Webライターとして活動していると、報酬未払いや著作権侵害、納期遅延などのトラブルに巻き込まれるリスクもあります。収入が多い少ないにかかわらず、どんなWebライターにもリスクはあるため、日頃からリスク管理しておきましょう。
しかし、いくら自分が気をつけていてもトラブルは起こり得ます。そこでおすすめなのが、賠償責任保険です。
- フリーランス協会
- フリーナンス
年間0円〜10,000円程度で加入でき、さまざまな付帯サービスもあるため、フリーランスに適しています。とくに、フリーナンスなら月額0円で加入できるため、サービスが少なくてもよい場合は、まずフリーナンスを利用するのがおすすめです。
万が一を考え、日頃から備えておきましょう。