【現役ライターへインタビュー】村岡祐菜「夢を諦めないで!旅×ライター×薬剤師の旅くらし」

精神疾患を持ちながら、ライターとして活躍する現役ライターにインタビューする『精神疾患とわたし』。

第3回は、アドレスホッパーとして薬剤師×ライターとして活動する村岡祐菜さんに、旅をしながらお仕事をする楽しさについておうかがいしました。

《今回の現役ライター》

村岡 祐菜(Twitter:@pharma_writer

日本各地を旅しながら、薬剤師としても活動するフリーライター。

双極性障害を持ちながら薬剤師国家資格を取得したものの、ドクターストップにより正社員として勤務するのが難しくなる。

療養中に出会った「ライター」の仕事に魅力を感じ、薬剤師の傍らライターになった。現在はADDressを活用しながら、多拠点生活を送っている。

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「旅しながら暮らしたい」その思いが叶ったのはADDressのおかげ

ーーそもそもADDressというのはどのようなサービスなのでしょうか?

ADDressは、多拠点生活を送るアドレスホッパーや移住先を探している人のための「住まいのサブスク」です。毎月定額で、日本全国にある拠点に泊まることができます。

私は実家に住所を置いているのですが、ADDressの拠点に住所を置いて生活することも可能です。

※2023年より定額制は廃止。2月時点ではチケット制で月額9,800円(税込)〜利用可能となっている。

 

ーー面白いシステムですね!ADDressのサービスや、アドレスホッパーという生き方のどこに惹かれたのでしょう?

私がADDressを知ったのは、オンラインで開催されていたライター交流会に参加したときでした。参加者のお一人がADDressを利用していて、こういったサービスがあると教えてもらったのがきっかけです。

もともと、私には「旅をしながら暮らしたい」という夢があったんです。でも、具体的にどうやればいいかは見当もつかなくて……。そんなときに、ADDressを知って「これだ!」となりましたね。

その後、SNSなどでADDressを使っている人の感想や暮らしの様子などを見て、ちょっとやってみようかなと決めました。

 

ーー「旅をしながら暮らしたい」という夢とサービスが見事にマッチしたわけですね!

旅に出てしまうと、その間の家賃がもったいないなって思いがあったんですよね。とはいえ、住所がないのは困りますし。

だから聞いた瞬間、「このサービスは利用するしかない!」って思いました。

ADDressで利用した拠点の一つ。拠点ごとに趣が異なるそう。

 

ーー実際に利用して、デメリットはありませんでしたか?

今のところ、大きなデメリットは感じていませんね。ただ、シェアハウスのように共同生活が苦手な人には向いていないかもしれません。

周りはまったく知らない人ばかりで、「初めまして」の挨拶から関係を築く必要があります。それが苦手だったり、ストレスに感じてしまったりする人にはちょっと不向きかなと。

あとはお金ですね。ADDress自体は定額制なのですが、食事や仕事場確保にお金がかかります。拠点によってはワーキングスペースが確保されている場合もありますが、スペースがない場合は、カフェやコワーキングスペースを利用するのに結構お金を使ってしまって。

あと、拠点間の移動費もそこそこ負担になりますね。なので、夏の間は青春18きっぷを利用して、移動費を安く抑えていました。

でも総合的に考えて、アドレスホッパーになってよかったと思っています。旅先で新しい出会いがあって、知らない世界を知れるのが楽しいですし、何より夢が叶ったことが嬉しくて。

双極性障害で正社員からフリーランスへ

ーー村岡さんは双極性障害をお持ちだとうかがっています。やはり病気で働けなくなり、ライターへ転向したのでしょうか。

もともと大学生のときに双極性障害を発症して、一度寛解したのですが、仕事のかけもちで多忙が重なり、2020年に再発してしまいました。

再発してから2か月くらい療養したときに、正社員で薬剤師の仕事はできないけど、在宅で何かできることはないかなと思って、初めはクラウドワークスでタスク案件をやっていました。それから単発で単価の低いライティング案件なんかをやって、少しずつできることを増やしていった感じです。

 

ーー薬剤師のお仕事も続けていたんですよね。

そうです。療養後はもう少し案件を増やしながら薬局の仕事にも復帰し、徐々にライターのお仕事を増やしていって、2022年の5月にライター1本で生計を立てるようになりました。そこから、先ほどお話ししたようにADDressを利用して、全国を回るようになったんです。

旅をしながら、現地で薬剤師としてスポット勤務もしています。

 

ーーライター1本で行けると思った基準はありましたか?

基準は考えていませんでしたね。いずれはライターで生計を立てられたらいいなと、漠然と考えてはいました。

お仕事させていただくなかで、少しずつ依頼が増えてきてリソースが足りなくなってしまったんです。ご相談いただいた案件をお断りしなければいけないケースが増えてきたのが、薬局を辞めてフリーランスになろうと思ったきっかけでした。

移動中にライターのお仕事をすることも!どこでもできる仕事なのがライティングです。

主治医の理解があったから続けられた旅

ーー現在も闘病中だと思うのですが、メンタルクリニックへの通院はどうしているのでしょうか?

通院しているクリニックの先生には、大学生のころからお世話になっていて、私の「一度決めたらやり通す」という性格をよく理解してくれています。笑

ですので、旅をしながらライターをやりたいと相談したときも、「ちゃんと帰ってきて受診はしてね」という約束のもと、快諾してくれましたね。2か月に1度、約束通り通院していました。

先日、実家から鹿児島に引っ越したので、鹿児島のクリニックに転院しました。

 

ーー旅をしながらライターをすることは病気にどのように影響しましたか?

私の場合、同じ場所に居続けると気分が落ち込んだり、ストレスを感じたりしてしまうみたいです。だから旅をしているほうが、体調はいいですね。多分なのですが、適度に環境を変えるほうが、私には合っているようです。

だから、気分が沈んでいるなと感じたら、次の拠点に移動する。そうするとリフレッシュできて、また頑張れるんです。

 

ーー旅中は体調がよいということですが、ライターの仕事をする際、体調面で気をつけていることはありますか?

そうですね、基本的には前倒しで納品できるスケジュールを組むようにしています。ライターを始めた頃は、納期の2日前には納品できるスケジュールにしていました。

ただ最近は、もうちょっと余裕を持たせたいなと思って、依頼された期間の半分で納品するようにしています。やっぱり女性の体調には波があるので、いつもより稼働できなくても終わるようにスケジュールを組みますね。

旅先ではさまざまな出会いがあるという。

病気を理由に諦めるな!挑戦するだけでもしたほうがいい!

ーー精神疾患を持っているライターさんや、これからライターを始めたい人に向けてメッセージをお願いします。

やっぱり、精神疾患を理由に諦めるのはもったいないなって思います。「精神疾患があるから」という理由で諦めているのだとしたら、それは絶対後悔するんじゃないかなと。病気のせいにして逃げちゃうみたいな、そんな風に私はなりたくないし、皆さんにもなってほしくないです。

だから、やりたいことがあるならまずやる。やってみてダメなら、諦めればいいんですから。

私も会社員になってみてうまくいかず、双極性障害が再発した経緯もあるので、「再発したけど次はどういうふうにやればうまくいくだろう?」と考えました。理想に近づくための努力は楽しいよって言いたいですね。

 

ーー確かに、病気のせいにして何もしないと状況は変わらないですもんね。

そうなんです。病気に振り回されるだけだと、ゼロかマイナスにしかならないじゃないですか。じっと待っても、気分が落ち込むだけでよくはならない。

でも、うまく病気と付き合うことによって、物事をプラスに持っていけるようになるんです。何事も始めなければ、プラスにはならないんだよって伝えたいですね。

村岡祐菜
ブログ「旅のしおり」にて、旅のよさやハプニングまで大公開!普段の呟きはTwitter(@pharma_writer)から。

この記事を書いた人

もさこ
気分変調症+うつ病を発症しながら、フリーランスのライターとして活動。臨床検査技師資格やAFP/2級FP技能士の資格を活かした医療・金融記事が得意。
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